「いいぞ」を待ってる犬の姿勢で

佐藤ゆうこ の 短歌のことをかく ページ です

(感想)第4回 dectet (テーマ:ジェンダー)

10人の歌人さんが発行している第4回「dectet」。毎回テーマを決めるMCさんがいて、そのテーマにしたがって3首連作が掲載されているのだそう。今回は、神丘風さん(@kmtrf4)がMCでテーマは「ジェンダー」。印象に残ったり、気になったりした歌を書いてみます。カッコ内は連作タイトル/作者名。

 

 

 

 

タロウって呼ばれてしっぽを振っているメスのこいぬは幸福そうだ

(「らしい」ってなんだよ/神丘風)

 

あぁ…これはおじいちゃんがノリ(愛)でつけちゃう名前…!と想像に易しい状況。

連作のタイトルからして「幸福そうだ」は皮肉を込めているのかもしれない。

でも子犬が喜んでいる(ように見える)のは名前のいかんよりも「まさに今自分が呼ばれている」という喜びなのかなと思う。性別にちぐはぐな名前だけど、名前、性別の云々の前に、その犬自身(その人自身)が求められることの喜びってあるよね。というのを感じた。

どうでもいいが、私も鼻たらしながらポケモンに没頭していたとき、捕まえたメグロコが最終的にワルビアルになると知って、勢いで「くみちょう(組長)」ってニックネームつけてしまったことがある。ワルビルに進化してからメスだって気づいたけど、四天王戦までつれてったよ組長。頼もしい仲間。

 

 

恋人にごはんを作って喜んだそんな自分も否定できない

( /諏訪灯)

 

自分のなかの混じり合うというかまだらというか、ジェンダー観に関するもやもやを歌っているのは、ネプリのなかで唯一この歌かなと思う。私も異性と付き合いはじめて、どんどんそういう方向に傾いていってる自分にもやっとしたことがある。自分でスカートを買ったのも、異性と付き合い始めてからだったな…。夫が料理をする様子を歌った二首目がすき。

 

 

性別を書く欄の中の空白に私のすきな人がいること

(花の色は/とうてつ)

 

性別の表し方(捉え方?)の中には、自分自身の性別に関する「性自認」とどんな性を好きになるかの「性的指向」がある。(と、勉強不足かもしれないが私なりに認識している…)

この「性的指向」も含めて自分です、と主張したい気持ちがこめられているのかなぁと読んだ。この歌でいうところの「すき」が性的指向の「すき」なのか、というのは私の解釈ミスかもしれない…。むむむ…自信がなくなってきた(笑)

自分は異性愛前提で友人と恋バナをしなくてはならないのが辛い時期があった。のを思い出しました。